土手を歩きながら

中川の土手を散歩。
犬の散歩とすれ違う。
川べりには釣り客が竿を何本も立てている。
それをあざわらうかのように魚が跳ねる。
見てると数メートル移動しては飛び上がっているようだ。
あれはじっさいのところ、どういうことなのだろう。
酸欠なのか。まさか。空中に飛び上がったからといって、
肺なきものに呼吸ができるわけもない。
では、元気をもてあましているのか。
ヒトだって90歳をすぎても鉄棒にぶら下がれば大車輪をやってみたくなる。
あれと同じ心境か。よくわからない。
だから、釣り人への挑発行為と思ってもいいくらいだ。
でも、だれもいないときでもやつらは飛び跳ねている。
水中を泳ぐことと空中に飛び上がることは、
一連の行為なのか。
一瞬、ウロコをきらめかせて水面から飛び出し、
その魚眼に土手や土手を歩くぼくや中川大橋や青空、
あるいはスカイツリーの先っぽくらいを取り込み、
すぐまた水中に潜って、今見た世界とのあまりの落差に愕然とし、
もう一度飛び上がって再び目を見開く。なんだこの世界は。
でもおもしろいじゃないか。水面の外にこんな世界が広がっているなんて。
ああ、そんなこんなしてると釣り針にひっかかってしまうぞ、さかなクン。(しょっち)