春一番が吹いた。
ちょうど10年前にも大きいのが吹いて、
あのときぼくは田舎から都会の盛り場に引き戻された。
今度の変わり目ではいやおうなく組織的対応をせざるを得ない。
それ自体は特に新しいことではないが、
ひとりで動くことに慣れた身には、やや気ぜわしいって感じ。
ひまさえあればなにか読んでいる。
小説を同時に何冊も読み進めていることもある。
インターネットでもあちこち飛んで、やはり読んでいる。
雑然とした情報がたくさん飛び込んでくる。
自分自身の興味と仕事上の関心は、
ほんとうは紙一重の差があるのだが、頭の中の整理箱では、
あまり区別されずに積み重なっていたりする。
生きている時間をより深いものにしたいという欲求と、
いま世界で起きていることを残らず掴んでおきたいという欲求が、
同時に存在している。
その両者が仕事にも反映する。
趣味で仕事をするな、お前の人生の充実はお前の勝手だが、
会社にはそれを援助する義務はないぞ、…
そんな声が内心に響いてくるし、当然、今日のような風も突然吹く。
自分のことなどどうでもいい、いささかも自分にこだわることなく、
客に喜ばれ、会社に利益をもたらすものを作りたい、
もちろんそれが本音で、本音の二重構造、などというつもりはないのだが。
春立てば揺らぐものあり道の端 (しょっち)


春一番

雪がとけて川になって 流れて行きます
つくしの子が恥ずかしげに 顔を出します〜

ときて、最後は

重いコートぬいで でかけませんか
もうすぐ春ですねえ 恋をしてみませんか

やっぱり、明るい前向きのイメージ。
そもそも悪いことはなあんも考えてないのだから〜
まあ、大丈夫っしょ。

雪融けのぽたりぽたりと小庭かな  (玉)