おこぜ

行きつけのおすし屋さんでおこぜのおさしみと唐揚げを食した。
おこぜは背びれに猛毒があるのだそうで、板前さんはペンチみたいな物で
背びれをはさんで、包丁をふるっている。
すばらしく活きのよいお魚で、包丁を入れられた瞬間羽根のように
びやっと胸鰭が開いて、ビリビリっと体をふるわせた。
背びれを取った後、皮をむいてもまだ、俎の上で跳ねている。
あまりに活きがいいので、板さんが、お刺身にしようか!と。
唐揚げだけのつもりだったのだが、お願いします、ということで
お刺身にひいて貰った。
ふぐよりも歯ごたえがあり、さっぱりしているけれど、ほのかに甘みもある。
おこぜのお刺身、もしかしたら、初めてかもしれない。

その後予定通り、唐揚げもいただいた。
火を通すと、ふしぎなくらいふわふわの柔らかい白身の食感で
またまた、びっくり、おいしくいただいた。
板さんの話によると、揚げ油の中でも飛び跳ねたのだそうだ。


白梅の門をくぐりておこぜ跳ぶ  (玉)



ううー。ええもんくいやがって。まいっか。
背の毒を切り離されてうれし跳ね
おこぜの気持ちを勝手に詠みたる季なし句ん。
冬眠の醒めやらぬ間の春眠か
海の底にも冬眠があるんかいのう。(しょっち)