一周忌

見るともなく見てる視線。
運転席の真うしろに、でんとすわったまあちゃん。
助手席から振り返って「まあちゃんおはよう」と声をかけても、
なかなか目を合わせてくれない。
寝起きだから。でもこんな時間に目を覚ますのも珍しい、と娘。
朝6時半前後。仙台は雨が降っていた。バスは夜の雨の中、走り続けた。
赤ちゃんというには、もう大きい。来月には、二歳だもの。
クルマに据え付けられたまあちゃん用の席に乗っかっているので、
目線はほとんど同じ高さにある。
すこうし笑みを浮かべてはいるのだが、顔は前を向いたきり。
おもしろいなあ。
いつも、うちとける前にこんな儀式が用意されている。
いきなりなれなれしくしないでよね、ということでもあろう。
一週間も会わないと、ほとんど忘れちゃってるんだから、とも言っている。
あたしのあんよにすぐ手をのばしてくるけど、それや・め・て。
福島あたりですでに夜は明けていた。
仙台から泉区に向かう道路には雨水が大量に溜まっていて、
前を走るクルマはどれもものすごい水しぶきを左右に噴き上げていた。
どこをどう走ったのか、閑静な住宅地の一角に到着だ。
長い一日でしたが、あっという間でもあった。
夜は、東京で、土産に持たせてくれたナマのホヤを食べてすっかり満足。
まあちゃん、またねー。(しょっち)