満開

父の心臓バイパス手術は家族控え室のモニターで見ることができたという。
数時間、ひたすら待つだけだろうと思っていたので、
家でぐずぐずしていたら、その中継を見逃してしまった。
病院に詰め掛けていた姉や弟たちの話によると、
実に手際のいい手術だったそうだ。ここにもゴッドハンドがいた。
孫の手術は生後17日という「世界レベル」の低年齢だったが、
父の手術も執刀医の話では「89歳は自分にとって高齢のタイ記録」
だったというから、「日本レベル」とはいえ、
こちらもかなり難しいものだったはず。
うまくいってよかった。
父の入院・手術で母も緊張を強いられるのか、このところ少し元気。
いくつになっても夫婦は互いに刺激しあわないといけないな、なんて。
そういう意味じゃ交互に入院なんて最高かも。
でも、なかなか狙ってできることではない。
開花してから半月かかって満開になるという、これも異例の
今年のサクラ。延ばしのばしにしてきた墓参りに、
今日あたり行ってこようと思うが、
花見の人出でクルマがスムーズに流れるかどうか。
去年の今頃はまだ熱心に句作などしていたのだから、
一年はずいぶん長い。
まあちゃんが有備館の池にえさを撒いたら巨大な鯉たちが
ばしゃばしゃっと現われ先を争ってえさに食いついた。
それを見てもまあちゃんがびくともしないので、
案内してくれた館長が「小さいのに度胸がある」と
びっくりしていたことを思いだす。
あの池に、花筏ができていたのだ。
サクラの季節の終わりごろだった。
花筏壊れて鯉の口の花
なんて句をつくったんだっけ。
数十尾の鯉が口の奥を見せていた。実に生臭い花だった。(しょっち)