波乗り舟

仕分けの終わった年賀状が、今週前半、毎日届けられた。
その中の一枚に、こんな歌が印刷されていた。
なかきよの とおのねふりの みなめさめ
 なみのりふねの おとのよきかな
漢字を入れて現代かなづかいにすると、
長き夜の とうの眠りの皆目覚め
 波乗り舟の 音の良きかな
意味は特にないようなものだが、すごいのはこれが回文になってるところ。
ひょっとしたら回文の世界では古典の傑作といわれるものかもしれない。
短歌の回文は案外難しい。
土屋耕一というコピーライターは回文の天才で、
力士手で塩なめなおし出て仕切り
お買い得安いと椅子屋くどい顔
軽い機敏な子猫何匹いるか
など、かつて思わずノートにメモしてしまったりしたものだが、
彼にしても短歌で傑作があったかどうか(あったらごめん)。
俳句くらいの字数が作りやすいのかもしれない。
回文俳句は意味不明なのしか作れなかった。悔しい。
しかたなく量で勝負。勝負にならないかも。
ペン先に薄くたゆたう冬霞
回文でなくても意味不明。
山茶花や乱れ咲いてるバスの道
だめだ。
女房を鬼にさせるや紅い花(赤い鼻)
語るに堕ちたか。(しょっち)

湯に浮かぶ一年柚子の五つ六つ (玉)