初雪

東京に、今年はじめての雪。
降るふると何度か言われながら、やっと今日。
朝起きたらご近所の屋根がすーっと真っ白で、まだちらちらと降り続いていた。
積もるところまでいかない、しゃぶしゃぶの歩き難い道路で、
転ばぬように、滑らぬように、ひたむきに下向きに歩いて駅へ。
疲れた!

お昼前には、ほとんどやんでしまい、銀世界はおあずけ。

初雪や足先だけのこの一日  (玉)


毎日目からウロコ、ってこたあないか。
いや、小さいウロコなら毎日落ちてるかもしれない。
でもきのう、ひさびさにウロコの大きいやつがおっこちた。
北斎の絵のことだ。
画面の左から大きく波がせりあがり、
中央遠くに富士が描かれている、あの絵。
おそらく日本一有名な絵といってもいいくらいのものだろう。
その絵の解説に、こんなことが書かれていた。
「この絵が、遭難を描いたものだということを、
何人の日本人が気づいているだろう」
ぎょっとして絵の手前の方をよく見てみた。
たしかに、大波に翻弄され、
今にも海に飲み込まれようとしている乗り合い舟がある、
いや、何人かはすでに海の藻屑となっているみたいだ。
ぐるりと大きく弧を描き、波頭が踊っているのに気をとられて、
そしてその先におわします富士山との相性がいいので、
なんとなくのんきに眺めてました。
手前の方はよく見ていなかった。せいぜいが「荒海と富士」か。
実は、あちら(富士山)が天国、こちら(海)が地獄、
ということだったのか。

目の前の地獄見ぬふり雪の道  (しょっち)