源九郎狐

いただいた招待券で、国立小劇場の文楽を観劇。
疲れていたので多分寝るだろうという予想に反して、相当おもしろかった。
演目は、超有名な『義経千本桜』なのだが…名前は知っていても
義経が頼朝に追われて都落ちする話ということくらいしか知らなかったので、
まさか狐が主役のお話なんだとは、思ってもいなかった。
歌舞伎で見ても役者の技に見所はあるのだろうが、
人形の動きと義太夫の三味と語りがさすがで、見ていて飽きない。

四段目の「河連法眼館の段」では、偽忠信すなわち源九郎狐が
ケレン味たっぷりに必死で訴える父母恋しの所作と語りに、
はじめのうちは面白くて笑っていたのだが、気がついたら泣いていた。
なんだか、とても不思議な感じ。
胸打つつくりになっているのだ。
さすが、義太夫狂言の三大名作と言われるだけのことはある。

一緒に行った友人と、狐の所作を真似しながら、
「私たちも人間じゃないかもね」などと笑いあった。

春の夢緞帳下りて春はゆめ (玉)


ふうん、なんやおもろそやないけ。ん?おもろそやないけ、でええのん?
ま、てけとうやさかい、ええことにしといてんか。
それにつけてもけつねはん、か。なんやかみがたっぽくあらへんか。
かみがたのもんやろ、きっと。こちとらえどっこやねん。どこがや。
梅の香の脇をせわしく通りすぎ (しょっち)