吟庵 つづき

ykanon52132008-02-18

昨日の吟庵のおそばは本当に美味しかった。
キーンと硬く冷たい喉越しが、今どきの冷たい空気にぴったり。
お蕎麦の香りもいちだんと高かったような気がする。

たいていおいしい吟庵でさえ、美味しさは一定という訳ではない。
食べる方の体調や心境にもよるのだろうが、
お蕎麦のように、素材そのものに手の掛かる食べ物は
どうしても、作り手の体調や事情に影響されるところ大なのだろう。
いつだって美味しいのだけれど、美味しさが微妙に違う。
お蕎麦は、まっこと、素朴だけど繊細な食べ物です。


写真は、1週間以上前に房総から買って来たポピー。
気温が低いので、花のもちがよくやっとほぼ開花しました。

風冴えて山都の蕎麦の旨きこと(玉)


うーむ。玉のほうが語彙が豊富?
なんだかわしよりおいしそうに書いてる。
どれだけ絶賛してもしつくせないおいしさ。
たとえば、といってもこういういいかたは事実だけにたとえにならないか。
つまり、玉のお兄さんがブラジル勤務だったころ、
所用で帰国してまたサンパウロに戻るとき、
必ず成田に行く前ここに立ち寄って、ここの蕎麦を食っていったよな、
それくらいうまいんだよ。なんて。
あと、わしがこういっても客観性はないだろうけど、
十年近く前、はじめてここの蕎麦を食べたとき、
これはほうっておいても蕎麦通がみつけて、いずれ千客万来になるだろう、
だからあえてわしは積極的に宣伝しとかんでおこう、
これはという相手に、招待して食わせてやればいい、と思ったものだ。
大勢押し寄せる前に、ひそかに独占的に味わっていたい。
というわけで、毎週1回、土曜か日曜には食べに行ってたから、
十年で500回、いつも「特大」だからこれまでに千人前近く食べた計算だ。
まあ、とにかく住宅街で駅から遠く、店主もそうやる気のあるほうじゃないから、
いまだに行列が出来るってほど繁盛はしていないが、
そのかわりおいしさの「劣化」もない。いいことだと思う。
そういえば吟庵で蕎麦を食ってるとき、
店のテレビではダッシュ村や課外授業をやっていた。で、なんとなく見てる。
よくそんな時間にテレビを見てるなと言われたこともあったような気がするが、
蕎麦の時間だったのだ。

寝ていても土のざわめき春近し (しょっち)