手術の日

東京は久しぶりに空が高い。
水のような澄んだ青さの空を眺めていると、涙が滲んできて、驚いた。
なんだか感動しているみたい。
この世はなんと美しい!あの世もきっと美しいだろう。
このとあのの違いは、たかだか距離の違い。たいしたことではない。
水のようなあちらの方にす―っと吸い込まれて行きそうで…
はっと我にかえって気がついた。
空はもこもこと優しい真っ白な雲に覆われて、この世を美しく守っている。


起きてますよ〜。


病院に向かう電車の中でのこと。


昨日、対面したかりんちゃんは優しい顔をした綺麗な赤ちゃんだった。
初対面がICUでなどという異常事態にもかかわらず、
私はかりんちゃんに病的なものを感じなかった。
大丈夫!
がんばれる。
かりんちゃん、元気になったら、まみいといろんなとこ行って、
いっぱい遊ぼうね。
もちろん、パパもママもまあちゃんもばあばもパッピも一緒だよ。(玉)


28日午前3時半。
息詰まるような時間が続いた。
ドナーの手術は成功との連絡があって、そこからが長かった。
赤ちゃんが生まれなおすような手術、どうやらうまくいったらしい。
16時間もの長丁場。すごいとしかいいようがない。
詳しくは医師の説明をきいた玉から報告があるだろう。
ここからどうなるかは、まだ全然分からない。
でも、移植された肝臓が早くも活動し始めているとのこと。
どうぞこのまま、かりんの身体に溶け込んでくれ。(しょっち)